□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「でも前に片桐に彼女いるの?って聞いた時、いるって言ってたじゃん」

「『一応いる』って言わなかったっけ?完璧にフリーってわけじゃないから、いないって言いきるのもおかしいだろ」

一応って、そう言う意味だったんだ……。

「そんなの、はっきり言ってくれないとわからないよ」

「そうだな」

睨む私に向かって、片桐は小さく笑いながらうなずいた。

「でも、彼女がいるって宣言でもして自分を戒めないと、我慢の限界だったからな」

「限界……?」

「美咲が落ち着いて立ち直るか、他に信用できる男が出来るまで、俺が出来る事はしてやろうと思ってたんだ」

そう言って片桐がこちらを向いて眩しそうに目を細めた。

「それまでは、我慢しようと思ってたんだけどな。お前が三浦に口説かれて簡単について行きそうになってるのを見て、こらえきれなくなった」

「私……?」

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