□TRIFLE□編集者は恋をする□
「色々ご迷惑をおかけしましたが、無事ウエディング本の編集終わりました」
TRIFLEの編集部で編集長に向かって頭を下げる。
今日もだらしなくシャツのボタンを上三つまで開けた編集長が、煙草を咥えたままで「おぅ」と返事をした。
「成図社の仕事はタメになったか?」
「はい!すごく勉強になりました」
うなずいた私の顔を見て、編集長は白い煙を吐き出しにやりと笑った。
「そういえば、私を成図社の手伝いに行かせた理由ってなんなんですか?」
「あ?」
「前に言ってたじゃないですか。その話は今度でいいかって言ってましたけど、気になるので教えてくださいよ」
私が詰め寄ると、編集長は「あぁ」と小さく頷きながら短くなった煙草を灰皿に押し付けた。
「それは、お前に期待してるからだよ」
「……え?」