□TRIFLE□編集者は恋をする□
 


「期待、ですか?」

「なんだその顔。嬉しくねーのか」

「だって。新田さんの片桐を紹介してってお願いは断って、私は手伝いに行かせたのに……」

それはTRIFLEの編集部的には私よりも片桐の方がずっと重要だって事だ。
期待してるなんて言われても、素直に信用できるはずがない。

「実際片桐がいないと、うちの本は出来ないだろ。撮影であっちこっちに行ってもらってるから、他の本を手伝う余裕なんてないし」

「そうですけど」

「それに片桐はもし編集の仕事を辞めたとしても、カメラ一本で食っていける。でもお前は違うだろ」

珍しく編集長が褒めてくれたと思ったら、結局やっぱり片桐の方が上だって話だった。

そう思いふてくされる私に、「大手出版社の仕事は、うちのやり方と全然違って大変だろ」と編集長は笑った。

「はい。大変で、戸惑ってばかりでした」

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