□TRIFLE□編集者は恋をする□

　

「ページひとつ作る為にライター選んでカメラマンに依頼して。思い描く通りのページにするために打ち合わせをして。
出来てきたものが本のイメージやその記事の意図するものと違う場合は容赦なくダメ出しして、それでも期日はきっちり守るように手回しして。気が遠くなるくらいめんどくせぇ仕事だよな」

本当に編集長の言う通り、編集の仕事は大変だ。
それならTRIFLEでやってるように、すべて自分でやってしまう方がずっと楽だと何度思った事か。

なによりも辛いのは、人が作ってくれたものにダメ出しする事だ。
これは仕事なんだからと自分に言い聞かせても、やっぱりそう簡単には慣れそうにない。

「それって、何かの仕事に似てると思わないか？」

なんだろう。
私が首をかしげていると、編集長はトントンと指先で自分の座る椅子の肘かけを叩いた。

「このイスに次に座るのは、きっとお前だろうな」

「え……？」