□TRIFLE□編集者は恋をする□
確かに編集部のスタッフに取材させページを作らせ統括する編集長。
ダメ出しをしたり進行スケジュールを管理したりするのは、規模は違えど私がウエディング本で体験した仕事と一致する。
「えええ!?」
驚きのあまり声をあげる私を見て、編集長はニヤニヤ笑いながら煙草を取り出し火をつけた。
「ま、俺はまだまだここに居座るつもりだから、当分先の事になるだろうけどな」
この先もずっと編集者として頑張っていこうとは思っていたけど、まさかその先が編集長という未来につながっているなんて、今まで考えた事なかった。
だけど、その可能性を他の誰でもな編集長に言ってもらえたことが嬉しかった。
この先この人の期待を裏切る事の無いように、もっともっと頑張らなきゃ。
強くそう思った。
「編集長になりたかったら、お前はもっと図太くなれ」
「これ以上図太くなったら誰も嫁にもらってくれなくなりそうなんですけど」
ニヤニヤ笑う編集長に、顔をしかめてそう言う。
今だって鉄の女だの仕事バカだの言われてるのに、これ以上図太くなってしまったら、生涯独身を貫くことになりそうだ。
「お前にはいるだろ、片桐が」
「え……っ!?」
平然と爆弾発言をした編集長に、驚きのあまり呼吸が止まる。
どうして編集長まで私と片桐の事を知っているんだろう。
「お前が分かりやすすぎるんだ、バーカ」
真っ赤になる私を見て、編集長はニヤニヤと笑った。