□TRIFLE□編集者は恋をする□
 



「三浦くん、編集部のバイト辞めるんだって」



ベッドの中でそう言うと、片桐は体を少し起こし頬杖をついた。
薄暗い室内で、シーツから出た逞しい上半身のラインがうっすらと浮かび上がる。

「寂しいのか?」

シーツの中に潜り込んで頭だけ出した私の髪を指先でなでながら、片桐がそうたずねた。

「三浦くんはいつも頑張ってくれていたから、いなくなると思うと寂しいよね」

「ふーん」

私の答えに、片桐は不満そうに目を細める。

「なにそのリアクション。片桐は寂しくないの?」

「……お前は本当に鈍感だよな」

不思議に思って片桐の事を見上げると、彼は呆れたようにため息をついた。

「お前には嫉妬させられてばっかりだな」

「……え?」

片桐が嫉妬?
私がじゃなくて?

今まで美咲さんとのことを想像して、身を焼くらい激しい嫉妬をしてきたんだけど。

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