□TRIFLE□編集者は恋をする□
「立場が逆転するシチュエーションが好きだとか、ただ職場の上司とエッチしてみたかっただけだとか、最低な事を言われた」
私が愚痴ると、それを聞いた片桐は脱力したように項垂れてため息をついた。
「お前、本当に鈍感だよな。普通それを本気で信じるか?」
「え?何?」
「……なんでもない」
そう言いながらゆっくりと上半身を起こすと、片桐は顔にかかる髪を乱暴に後ろに束ねて一つに縛る。
何気ないその仕草が扇情的すぎて、体の奥がきゅっと熱くなった。
「今まで散々嫉妬させられた分、仕返しをしないとな」
片桐は手を伸ばし私の両手を軽々とベッドの上に押さえつけた。
「え、仕返しって……んんっ」
嫉妬と苛立ちが彼の色気をさらに増させる。
熱を帯びた黒い瞳に見下ろされるだけで、体の芯が溶け落ちそうになる。
無駄の無い動きで私を押さえつけた片桐が、強引に私の唇を塞いだ。