□TRIFLE□編集者は恋をする□


自分の体がこんなに熱くて敏感にできているなんて知らなかった。

「あ……んっ」

片桐の指先に触れられるたびにびくりと反応して甘い声が漏れる。
唇が肌に触れるたびに勝手に背中が反って腰がゆれる。

甘い刺激に身をよじりながら目を開けると、私に覆いかぶさる片桐の端正な顔と逞しい肩が見えた。

……私、この人と付き合ってるんだ。
あんなに焦がれて苦しんで、でも人の物だからと自分に言い聞かせてきたのに、今はこうやってベッドの中で一緒にいられるなんて、なんだか信じられない。

「片桐……っ」

愛おしくて彼の名前を呼ぶと、まるでもっともっととねだるように甘えた声が出た。
こんなの自分の声じゃないみたいで恥ずかしくて、両手で顔を隠す。
すると無防備になったベッドの上の私の体に、片桐が弄ぶようにゆっくりと舌を這わす。

何をされても抵抗できないくらい、気持ちがよくてふわふわしていた。
感覚も思考も身体もとろとろに蕩けて、片桐とひとつになってしまえたら。
そんな事をぼんやりと思っていると、片桐の手のひらが私の太腿を開くように触れた。

「ん……っ」

開かれた足の間に腰を押し付けるようにして、隙間なくはめ込まれる。
擦り合わせるように入ってくる熱い感覚に、勝手に腰がそる。

「あっ。……ん」

暗闇の中でも、私の太腿の白さと片桐の肌の浅黒さの対比がはっきりとわかって、二人の体が密着している姿はなんだか妙に色っぽく見えた。

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