□TRIFLE□編集者は恋をする□
その感動を他の人に悟られないよう必死に頬に力を入れていると、背後から冷ややかな声が聞こえてきた。
「なんか挙動不審な人がいるなと思ったら、仕事バカ女か」
「美咲さん!」
相変わらず口の悪い美咲さんが少し離れたところから私の事を見ていた。
いつから見られてたんだろう。
そんなに挙動不審だったかなと恥ずかしくなる。
美咲さんは近づいてくると、私にするどい視線を向ける。
「あんたさぁ、何か私に言う事ないの?」
美咲さんに言う事……。
「あ、そうだ!前に美咲さんに手伝ってもらった雑貨の企画あったじゃないですか。あれすごく好評だったんですよ」
「は?」
「あのページがきっかけで、市内の小さな雑貨店をめぐる本が出せたらいいねって案も出てるんです。A5変形くらいの大きさで、持ち歩きやすいサイズの本。美咲さんに手伝ってもらったおかげです」
顔を輝かせてそう言うと、美咲さんにあきれた顔をされた。
「何かって、仕事の話じゃなくて」