□TRIFLE□編集者は恋をする□
 


「余り物の切れ端のスポンジを使って、可愛らしいスイーツを作るように
些細な日々の出来事を積み重ねて、自分らしい幸せな生活を作れたら。
TRIFLEって名前にはそんな思いが詰まっているんだよ」

私がそう言うと、デガワは感激したように椅子から立ち上がった。

「えー!すごいいい名前じゃないですか!」

「だから、今更だって。目次にも小さく載ってるのに」

「え?本当ですか?」

「ほらここ。目次の上の部分。毎月載ってるよ」

「あ。本当だ知らなかった」

「まったく。自分が作った雑誌を隅から隅まで読みこんでないなんて、まだまだだなデガワも」

「平井さんって、いつもTRIFLEをじっくり読んでるんですか?」

「あたりまえでしょ。一文字たりとも読み逃さないよ」

目を丸くしたデガワに自慢げに胸を張って見せると、デガワに呆れた顔をされた。

「そんなに誇らしげに宣言するなんて……。やっぱり平井さんって仕事バカですよね」


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