□TRIFLE□編集者は恋をする□
「中野さん、お疲れ様でしたー!」
カチンと大きなジョッキがぶつかる。
乱暴に打ちつけられたジョッキから、揺れたビールの泡が溢れてこぼれたけれど、誰もそんな細かいことは気にせず大きな声で笑い合う。
「本当に今まで中野さんにはお世話になりました!」
トライフルの印刷をお願いしていた北日本印刷の営業の中野さんが退職することになり、今日は編集部のメンバーが集まって小さな送別会が開かれていた。
“札幌を離れるから、最後に一番札幌らしいところで飲みたい”という中野さんの希望で、大通公園のビヤガーデンに集まった。
夏の夜空に映える真っ赤な札幌テレビ塔を見上げながら飲むビールは、冷えていて美味しい。
平井も野外で飲む開放感に気が大きくなったのか、たいして酒に強くないくせに、ぐいぐいと早いペースで飲んでいた。