□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
「あら、平井が後輩を泣かしてるわ」

そんなデガワの様子を見て、葉月さんが笑った。

「ちょっと、葉月さん人聞きの悪い事を言わないでください。デガワも編集長に放置されても泣くの堪えてたくせに、どうして私が謝ったら号泣するのよ」

「だって、いつも鬼のように怖い平井さんが、優しいからー!!」

そう言ってさらに大泣きするデガワに、ますます笑いが止まらなくなる葉月さん。
大混乱の給湯室を覗いた三浦くんが、驚いたように目を丸くした。

「何事ですか一体」

「平井がデガワを泣かせてるのよ」

「だから、葉月さん誤解を生むからやめてくださいって!」

「平井さんがー!!!」

「デガワ!いい加減泣きやんでってば!」


賑やかな給湯室で、私は大声で叫ぶ。

「ほらもういいから、仕事するよ仕事ー!」


(っていうか、普段の私は一体どんだけ怖い顔で仕事してるんだろう)


□TRIFLE□02□END□
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