□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
すると、すぐに彼女から着信があった。

『もしもし、由依?久しぶりー』

「久しぶりー、じゃなくて!ちょっと夏樹、いきなり結婚ってどういうこと?」

動揺する私をよそに、夏樹はのんびりとした口調で言う。

『来年の初夏頃に挙式する予定だから、よかったら来てよ』

やっぱり冗談じゃなく、本当に夏樹は結婚するらしい。

「式も披露宴も絶対行くけど!それより、いつの間に彼氏を作ってたの?そんな気配ぜんぜんなかったのに!」

決して友達の幸せを嫉むわけじゃないけれど、どうしても寂しさの方が勝ってしまう。
ひとり取り残された寂しさじゃなくて、彼氏ができたのに報告してくれなかった寂しさだ。

「だって、見合いだったからどのタイミングで報告していいのかわからなかったんだもん」

「見、見合い……!?」

夏樹が結婚という事実以上に、夏樹とお見合いという言葉の組み合わせの方がものすごいインパクトで、思わず一瞬時間が止まる。

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