□TRIFLE□編集者は恋をする□
「そう、見合い。相手医者なんだー。医者って変わり者ばっかりなのね。まあ、音楽オタクのあたしが言うのもなんだけどさ」
見合い。
夏樹が見合い。
しかもお医者さんと。
「あ。医者って言っても町医者だよ。地域のお年寄がくる小さい病院。ぜんぜん儲かってないの」
電話の向こうから聞こえる夏樹の声が、右から左に流れて行って全然頭に入らない。
「夏樹がお見合いするなんて、意外すぎる……」
「ほんとだよねぇ。あたしも見合いなんて絶対ないと思ってたわ」
私の言葉に夏樹がしみじみと頷く。
「ねぇ、なんでお見合いすることになったの?」
自分の趣味以外には極端に面倒くさがりで腰が重い夏樹が、よりによって堅苦しい見合いなんて。