□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
背が高くてたくましくて、少し長めの黒い髪をひとつに結った片桐は、黙っているだけで迫力があって威圧的だ。
そんな片桐に見下ろされた大下さんは、あきらかに怯えた表情だった。

取引先の新人さんを無闇に威嚇しないでほしい。

「そうそう、片桐の言うとおりだ。平井みたいな色気のねえ固い女、口説いても無駄だぞ」

編集長にまでそう言われ、私は思い切り顔をしかめた。

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