□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
「あ、そうだ。デガワは今日、何か用事ある?」

「仕事の後ですか?べつにないですけど」

「じゃあ、たまには一緒にご飯でも食べない?」

私がそう誘うと、デガワは驚いたように首を傾げ、でもすぐに笑った。

「いいですよ。平井さんのおごりですよね?」

「えー?いいなぁ、俺は誘ってくれないんですか?」

話を聞いていた三浦くんが、パソコンの間からちょこんと顔を覗かせる。

「三浦くんもくる?」

「わーい、行きます」

「もしよかったら、葉月さんも……」

同じフロアにいる葉月さんに声をかけると、「申し訳ないけど、私は遠慮するわ」と、少しも申し訳なくなさそうに、ふわりと笑った。

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