第三王子の婚約者~内戦状態の母国から生き延びるため隣国へ送られた王女はそこで出会った王子と恋をする~
第4話
「うん。これは美味しいね!」
「でしょう?」
「まぁ、確かに美味いけどさ……」
エミリーは得意げにフンと上を向いた。
「ポールにはまだ、お酒の味が分からないのね。私はもう一杯飲んじゃお」
「あ~ぁ。やっぱお前最悪」
彼女は再びグビグビとカップをあおった。
「ねぇ、大丈夫なの?」
心配する私に、ノアはニヤリと微笑む。
「アデルも飲んだら。僕が見張っててあげるよ」
ノアのカップが、私の持つカップにコツンとぶつかった。
挑発的なその表情に、私は覚悟を決めた。
「ノアになんか、絶対に負けないから!」
「あはは」
カップをすっかり空にして、私たちは村の大通りを駆け出した。
ごうごうと燃えさかるかがり火の周りで、ダンスの輪はさらに大きくなっている。
「アデル。おいで」
ノアの腕が伸びる。
私はその手を掴んだ。
燃え上がる炎に照らされ、頬が火照っている。
飛び交う火の粉が、チラチラと髪をこがす。
ノアの刻む軽快なステップに、何度も笑い転げた。
ぐるぐる回れば世界も回る。
大きな踊りの輪の中で、パートナーが入れ変わった。
踊りの渦の中で、ノアの姿が離れていく。
「あ、ちょっとま……」
人混みの中、彼の澄んだ瞳と目があった。
ノアは見知らぬ女性と踊りなからも、視線は私を捕らえて離さない。
くるくると絶え間なくダンスの相手を変えながらも、私も彼だけを追いかけている。
「アデル」
大きなうねりの中を、ノアが戻ってきた。
「ノア、よかった。戻って来た」
「僕から離れないで」
再び互いの手が触れあい、指先を絡める。
「アデル?」
その瞬間、私の頭はくらりとして、そのまま彼の胸に倒れ込んだ。
「でしょう?」
「まぁ、確かに美味いけどさ……」
エミリーは得意げにフンと上を向いた。
「ポールにはまだ、お酒の味が分からないのね。私はもう一杯飲んじゃお」
「あ~ぁ。やっぱお前最悪」
彼女は再びグビグビとカップをあおった。
「ねぇ、大丈夫なの?」
心配する私に、ノアはニヤリと微笑む。
「アデルも飲んだら。僕が見張っててあげるよ」
ノアのカップが、私の持つカップにコツンとぶつかった。
挑発的なその表情に、私は覚悟を決めた。
「ノアになんか、絶対に負けないから!」
「あはは」
カップをすっかり空にして、私たちは村の大通りを駆け出した。
ごうごうと燃えさかるかがり火の周りで、ダンスの輪はさらに大きくなっている。
「アデル。おいで」
ノアの腕が伸びる。
私はその手を掴んだ。
燃え上がる炎に照らされ、頬が火照っている。
飛び交う火の粉が、チラチラと髪をこがす。
ノアの刻む軽快なステップに、何度も笑い転げた。
ぐるぐる回れば世界も回る。
大きな踊りの輪の中で、パートナーが入れ変わった。
踊りの渦の中で、ノアの姿が離れていく。
「あ、ちょっとま……」
人混みの中、彼の澄んだ瞳と目があった。
ノアは見知らぬ女性と踊りなからも、視線は私を捕らえて離さない。
くるくると絶え間なくダンスの相手を変えながらも、私も彼だけを追いかけている。
「アデル」
大きなうねりの中を、ノアが戻ってきた。
「ノア、よかった。戻って来た」
「僕から離れないで」
再び互いの手が触れあい、指先を絡める。
「アデル?」
その瞬間、私の頭はくらりとして、そのまま彼の胸に倒れ込んだ。