この恋に名前をつけるなら
「え?ゆ……結空《ゆあ》」
俺は目を丸くし、空いた口が閉じないでいた。
名札には木栖と書いてある。
正真正銘の結空だった。
髪色は茶色になり、化粧もしていて昔より可愛くなっているではないか。
「久しぶりだね……」
結空も驚きを隠せずにいた。
あれから何年経つだろうか?
突然のことに状況を整理するのに、
時間がかかった。
「うん。ホント久しぶり……ここで働いてるんだね?」
俺は周囲を見渡す。
「そうだよ。卒業してからずっとここで働いてるんだ」
「そうだったんだ。知らなかったよ」
「ふふ。えっと……今日はどうしたの?」
「あっその……画面割れちゃってさ。新しいケータイに変えようと」
俺は展示されたスマホを指差した。
「そっか。じゃあ私が担当するね」
私は仁くんを席に誘導する。
「う、うん」
俺は席に座った。