この恋に名前をつけるなら
店から出て二人は話しをする。



「お前、結空ちゃんのこと、まだ好きなの?」


海斗は唐突に問いかけた。



「え?いや……好きっていうか、なんつうか。来なかったんだぜ?あの日……向こうが冷めてんのに、今更好きにはならねえよ」



俺は自分の気持ちが正直、分からないでいた。



未練があるのか?


まだ好きなのか?



答えが見つからない。



「まあ、普通はそうだよな!俺も仁と一緒の考えだわ。でもよ、懐かしいよな?」



「え?」



「高校時代だよ」



「何が?」



「だって、あんだけ仲良しで、お似合いなカップル、お前らぐらいだったじゃん!また再会して付き合ってさーー。結婚すると思ってたのに、結ばれなかったのが残念でよーー」


海斗は少し寂しそうに夜空を見上げていた。



「はは、昔はな!俺もあの日、再会して幸せな日々が戻ってくると思ってたよ。でも、なんでこうなったかなーー?わかんないもんだね」


俺も同じく夜空を見上げ、考え込む。


答えてくれない夜空の星。


二人はしばらく昔のことを思い出した。



「じゃあ、また来週の日曜日な」



海斗は酔いも覚め、俺に手を振る。



「おう!今度は連れてこいよ彼女」



「はいよ」


海斗は照れ笑いを浮かべる。



海斗は半年前に彼女ができていた。


彼女は中島莉緒。


高校時代のクラスメートで仁達と仲が良かった、あの中島さんだ。



まさか海斗と中島さんが付き合うとは、

誰も思わなかっただろう。


俺と海斗は解散し、家に帰って行った。
< 106 / 166 >

この作品をシェア

pagetop