この恋に名前をつけるなら
第一日曜日。



俺は我に帰り、結空がいそうな場所が頭に浮かんだ。



もしかしたら、いるかもしれない。



今日はプロポーズの日だった。




「プロポーズ丘公園」



俺は呟く。


急いでお店を出て、近くにあるタクシー乗り場まで走り出した。



同僚の町川さんは結空が使っているポーチが、ふと頭をよぎる。



「もしかしてポーチ君?」



町川さんは急いで休憩室に入って行った。



俺はタクシー乗り場に着き、タクシーに乗り込む。



「はぁはぁはぁ……その先の公園まで」



俺は運転手に行き先を告げた。



「了解しました」



運転手は車を走らす。


ゆっくりと車を走らす運転手に嫌気がさしていた。



「急ぎ目でお願いします」



慌てながら、強い口調で言った。


時刻は午後8時と真っ暗で、いない気がしてきた。



微かな希望に賭けることしかできないまま、プロポーズ丘公園に着いた。



「ありがとうございます。780円です」



「お釣りはいいです」



俺は千円札を運転手に渡し、お釣りを貰わずに走りだした。
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