この恋に名前をつけるなら
その頃、バスターミナルにバスを待つ人達が数名。



その中に結空の姿があった。


手には京都行きのチケット。


大きめのリュックを背負い、ベンチに座りバスが来るの待っていた。



血が繋がっているお父さんが京都に住んでいるため、京都に住むつもりだった。



お父さんは『ずっと、うちに住めばいいじゃないか』と言ってくれたが私は断る。  


 
仕事と住む場所が見つかるまでは、お父さんの家でお世話になるつもり。



そして、見つかり次第、一人で頑張ることをお父さんに伝えていた。



私は仁くんの顔が頭によぎる。


私は仁くんと幸せになれない。



好きな気持ちをただ押し殺し、仁くんのことを考えないようにしていた。



していたけど、無理だよ。


いつもキミのことばかり……


何で、何で?







好きだよ仁くん……



あの日、約束の日に逢えなかったことを思い返す。





もし、あの日……



約束の場所で仁くんと逢えてたら、こんな気持ちにならなくて済んだのだろうか。



戻れるなら戻りたい。



私は夜空に輝く星を眺め、後悔する。



一粒の涙が流れ落ち、あの日、逢えなかった日を思い返した。



本当にいろいろあったなあ……
< 117 / 166 >

この作品をシェア

pagetop