この恋に名前をつけるなら
歩いて坂道を降りていると、反対側から細身の女性が歩いてくる。



見覚えのある顔で誰だかすぐに分かった。


あれは仁くんの同級生で同じ高校の中島莉緒。



私は中島先輩にバレないよう顔を下げ、そのまま歩いた。



すれ違う時に中島先輩と目が合うが、私は目をすぐ逸らす。


中島先輩は結空の事に気づいたに違いない。


中島先輩の目が少し見開き、少し動きが止まったように感じた。



私は小走りで、何事もなかったかのように自宅に帰って行き、中島先輩は私の背中を見届ける。


私に違和感を覚えたが、中島先輩は考えるのをやめた。
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