この恋に名前をつけるなら
私は幸せになりたかった。




でも、幸せを追求するあまり、幸せを遠ざけていたのかもしれない。



帰り際、遥はこんなことを言った。



「結空?」



「うん?」



「今幸せじゃないとか、幸せにはなれないとか思ってたら駄目だよ。どんなに小さな幸せにも感謝して毎日を過ごさなくちゃ……幸せなんて寄っても来ないし、迎えにもいけないからね」



「え?あ……うん」



「昔の私がそうだったから!結空、今日はありがとね」



遥はそう言い残し、笑顔で帰って行った。



何だか見落としていた答えを見つけたみたい。



幸せかーー?




私は幸せの定義を見つめ直すことにした。
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