この恋に名前をつけるなら

この曲は仁くんとの思い出の曲。


こんな時に、歌うような曲ではないと分かっていても……



この曲を歌わないとカラオケは始まらないぐらい大好きな曲だった。



「うわっ！めっちゃうま！」


北斗は結空の歌の上手さに衝撃が走る。


透き通った優しい歌声に魅了されていた。



ふざけるのも、

盛り上げるのも忘れるぐらい、

ただひたすら私の歌声を聴いていた。



「ちょっと、北斗！盛り上げるの忘れてんじゃん、ふふ」



私は真剣に聴いていた北斗の顔を見て笑い出す。



「あっいや、上手過ぎでしょ！もはやアーティストやん！」


興奮気味に北斗は私を誉めていた。



私は小さい頃から歌うのが好きだった。


だから、小さい頃の夢はアイドル！



テレビの前で歌う姿をおじいちゃんとおばあちゃんに見てもらいたかったっけ？



亡くなった祖父母を思い出す。


私の歌を祖父母は嬉しそうに、最後まで聴いてくれてた。


私は小さかった頃の記憶を懐かしがる。



「ふふ、ありがと！北斗も上手いじゃん」



「いや、結空の歌聴いたら、俺は足元にも及ばんよ」



「何、自信なくしてんのよ！好きなんでしょ？カラオケ」



「え？いや、好きだけどさ。今日は結空の歌をずっと聴きたくなったよ」　　



「何でよ！喉ガラガラにする気？」



私は口元を膨らませながら、北斗の顔を困らせる。



「あっその……」　



「ふふ、一緒に歌おう、ね？」



私は北斗の表情を見て笑い、マイクを渡した。



「あっだね、任せるよ曲」



「じゃあ、この曲にしよーーっと！」



二人はマイクを握りしめ、カラオケをしばらく楽しんだ。