この恋に名前をつけるなら

それでも、いつも通り私は職場に出勤した。


生活費のため、働かないとやっていけない。


ただひたすら仕事を頑張っていた。



「おはよう」



あまり元気のない私は、同僚の美優に挨拶をする。



「おはよう。ちょ!どうしたの?」



美優は私の目が腫れているのに驚いた。



「え!あっこれ?ドアにぶつけちゃって」


私は北斗に殴られたとは言えず、嘘をつく。


作り笑顔で誤魔化すのが心苦しかった。



「ふふ、もうドジなんだから、ホント気をつけな」



美優は私の話しを信じ込んでいた。



内心、心のどこかでは気づいて欲しかった。



私がDVされていることを。



「うん。ありがとう」



その日は何とか誤魔化せたけど……
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