この恋に名前をつけるなら
その後、美優は彼氏に結空のことを電話で説明する。



美優の彼氏は二個上で、強面の顔をしていた。


それに、とてもガタイがよく、学生の頃はよく喧嘩をしていたらしい。



名前は勝部瞬太《かつべ しゅんた》。


瞬太は話しを聞いて、

仕事だったにも関わらず、

結空のアパートに向かってくれた。


瞬太も女に手を出す奴が許せなかったのだろう。





殺気立っていた。



頭にはタオルが巻かれ、作業着は所々、汚れていた。


目を鋭く尖らせ、眉間に皺を寄せる。


気合い十分だった。


指や首の骨を鳴らしながら、部屋の前に着いた。



美優から結空の部屋番号を確認して、チャイムを鳴らす。


北斗は結空のアパートに住み着いていた。



どうしようもないヒモ男。


そして、クズ男に化していた。



しばらくして、寝癖がついたまま出てきた。



「はい……」


寝起きなのだろうか、少し眠そうにしていた。



瞬太は玄関に入り込み、ドアを閉める。



「ちょ……何!なんなんすか?」



瞬太の顔を見て強張る北斗の顔。



「おい。お前、何発殴った?」


瞬太は北斗に尋ねた。



「え……はい?」



何のことが分かってないのだろう。


北斗は戸惑っていた。



「何発殴ったか聞いてんだろ、ナァ?」



徐々に口調が荒くなる瞬太。



「何のことすか?」



「お前の女を何発殴ったか聞イテンダロ、ゴラァ!」



声を荒げ、北斗を睨みつける。



部屋は散らかり、壁に数箇所、穴が開いてあった。


痛々しい痕跡の跡があちらこちらに。



「え!あの……」



北斗は瞬太から恐怖を感じ、腰を抜かしていた。



「オイッ!早く答えろ!何発だ?」


瞬太は北斗の胸ぐらを掴み、脅かした。



「えっと……一回です」


北斗は苦し紛れの嘘をついた。


散々、結空の顔や身体を殴る、蹴るの暴力をしたくせに……



自分を守るために少なく言ったのだ。







本当にどうしようもないク……



これ以上言うのは、やめておこう。



ホント言うのがバカバカしくなった。



瞬太はどうしても、許せなかった。



「もう一回聞くぞ!何発だ?」



「え!その……わかりません」




「分からないぐらい殴ったんだな?」




瞬太は呆れていた。



それと同時に、北斗に怒りを覚えた。



「いや、そういうことじゃ……」



ゴンッ!
< 146 / 166 >

この作品をシェア

pagetop