この恋に名前をつけるなら
運命の人
現在に戻り、
私はバスターミナルでバスを待っていた。
すると、
スマホのバイブに気がつき、
電話に出る。
電話の相手は美優だった。
「もしもし」
すると、
前方から一台のバスが……
京都行きのバスが近づいてきた。
「もしもし、やっと出た!今どこ?まだ乗ってないよね?」
美優は慌てて私に尋ねた。
「え?今バス来たから乗るとこだけど!」
私はバスに乗るため列に並んでいた。
私の前には、数十人の人がいるだろうか。
列に並んだ人達が前に動き出す。
「ちょっと待って!3時間ぐらい前に来たの!ポーチ君が」
「ポーチ君?え!仁くん?」
私は仁くんのことだと気づき、
慌てふためく。
美優はしつこく結空に電話したが出なかった。
結空はずっとボーっとしていたのだろう。
マナーモードにしていたのもあって、気づかなかったのだ。
「結空を探してたよ!走ってどっか行っちゃったけど」
「それホント?」
バスに乗ろうか躊躇い、表情が曇る。
残りは私だけになっていた。
「ホントホント、ホントだって!きっと結空に大事な用があったんだって!逢わなくていいの?」
「え!その……どうしよう」
「結空頑張れ!最後に自分の正直な気持ちを伝えてごらん!」
美優は優しく私に言った。
「気持ち?」
「好きなんでしょ?」
「え?まあ、そうだけど……」
自分の気持ち?仁くんには彼女がいる。
叶うはずのない恋。
当たって砕けろ?
私は頭の中でいろんなものがぶつかり合っていた。