この恋に名前をつけるなら
私の暗かった表情が緩み出す。


仁くんは私が居ることを知らずに、

こちらに向かってきた。



「ふふ、下手くそ!」


私は安堵し、微笑んでいた。



「うわっ!びっくりした。え?何で?」


仁くんは微笑む私が目の前に現れ、

驚きを隠せないでいた。


もう会えないと思っていたから当然か。


目は見開き、口が閉まらない。



「何でって?美優……ううん。職場の人から教えてもらったの」



「え!何を?」



「私を探してるって!仁君なら絶対、ここにいると思った」



「はは、そっか……もう逢えないと思ったから。ホント良かった」


俺も安堵し、微笑んだ。



あの日帰ったのを後悔した俺は、

もしかしたら、

結空がプロポーズ丘公園にいないかと、

また訪れたのだ。



「ホントそうだよ!私ももう逢えないと思ってた。それで……私に何かようだった?」



「いや、その……謝りたくてさ」



「え?何を?」



「あの……俺さ、あの日行ったんだ」



「え?」



「プロポーズ丘公園……嘘ついてごめん」


俺は結空の目を見て、真剣に謝っていた。
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