この恋に名前をつけるなら
カラオケが終わった後は、

二人でプリクラを撮るのが定番だった。


近くに隣接するゲームセンター。


プリクラ機の中で変顔をしたり、

顔を寄せ合う二人。



プリクラを撮り終え、

プリクラシールを二人は眺めていた。



「この仁君、可愛い」


結空はプリクラシールに写った俺を指差す。



「え?そう。じゃあ、どっちも女の子みたいだね」



「ちょっと!女の子みたいって何よ?私は正真正銘の女の子なんですけど」


結空は頬を膨らませがら、俺に言った。



「いや……そういう意味で言ったわけじゃないんだけど、はは」


俺は不適切な発言に反省し、

苦笑いする。


結空は俺の困った顔を見て小さく笑った。



「ふふ、はい」


結空はハサミでプリクラシールを半分に切り、
切ったもう半分のプリクラシールを俺に渡した。



「ありがと。またケータイに貼ろうっと」


俺はプリクラシールを携帯電話の裏に貼り、

数秒間、

プリクラシールが貼られた携帯電話を眺めていた。



「どう?いい感じ?」


俺はプリクラシールが貼られた携帯電話を結空に見せる。



そこには二人が満面の笑みで写ったプリクラシールが二枚。


地味だった携帯電話が愛の色で彩っていた。



「ふふ。最高にいい感じ」


俺の携帯電話を見て結空は微笑んだ。



「でしょ」


俺は結空と手を繋ぎ、お店から出る。



小さな結空の手は、

とても柔らかく離したくなかった。
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