この恋に名前をつけるなら
しばらくして、

お母さんが私を呼ぶ。



「結空ーーちょっと来てー」



「なにーー?」


私はしばらくして部屋から出てきた。


私は前髪をゴムで結び、

部屋着だろうか。


楽な服装をしていた。



「ちょっと、いいか?」


お父さんは私を椅子に座らした。

私はいつもと違う空気に違和感を覚え、

胸騒ぎを覚える。



「結空の同級生から聞いた話なんだが……結空は最近、彼氏できたみたいだね?」


お父さんは私に優しく尋ねた。



「うん……それがどうかした?」




「いや、それがひとつ心配することがあってな」



「……何?」


私の胸騒ぎが次第に強くなる。



「彼氏さんが結空以外にも付き合ってるって聞いたんだ」



「え!嘘?!誰が言ってたの?」


私は戸惑い、頭の中はパニックになる。



「それは言えないわ。あなた達の関係が壊れるでしょ」


お母さんは冷たい目で私の方を見る。



「なによそれ!仁くんがそんなことするわけないじゃん!」


私は怒りが込み上げてくると同時に、

目には涙が映る。



聞きたくなかった……



もし、

それが本当だったらと思うと怖くて仕方ない。




傷つきたくなかった……



逃げたくなった。




「ないなら確認さしてちょうだい」


お母さんは携帯電話を出すよう、

私に手を差し伸べた。



「待って!電話する気?」


私は驚き、

持っていた携帯電話を取られないよう握り締める。



「あなたのことが心配なの!それがホントなら私達も許せないでしょ」


お母さんはなかなか携帯電話をださない私に、しびれを切らす。



「出しなさい!」


お母さんは私が持っていた携帯電話を無理矢理、取り上げたのだ。



「ちょ!いや。返して!」


私がお母さんから携帯電話をとり返そうと暴れるが、
お父さんが私を抑える。


お母さんは私の携帯電話を開き、

通話履歴から仁くんに電話をかけた。
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