この恋に名前をつけるなら
俺は一ノ瀬仁《いちのせ じん》、二十歳だ。

高校時代に付き合っていた、

一つ下の彼女を今、待っていた。



彼女が高校を卒業した日、

まだお互いが好きだったら、

この場所で逢おうと口約束をしたのだが……



一向に来る気配を感じない。



まさか……忘れてる?


それとも他に好きな人でもできたのか?



次第に考えは悪い方へ働いていく。



約束したはずなのに……



なのになんで?


なんでなんだよ……



俺だけが君のことを思い続けていたの?


いやいや、そんなことないよね?



答えが分からないまま、

時間は過ぎていった。
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