この恋に名前をつけるなら
お化け屋敷に入り、私より怖がる仁くん。


景品のクマのぬいぐるみを私にあげるため、
必死に輪投げに夢中になる仁くん。

時間はあっという間で、

このまま離れたくなかった。



「楽しかったね」


廊下を歩きながら仁くんは言った。



「うん、次どこ行こっか?」



「うーん?じゃあ何か食べに行こっか!」


仁くんは手に持っていたジュースを私に渡した。


間接キス……



自然と渡されたジュースを飲み、

身体が熱くなるのが分かった。



「うん」



「結空?後ろ!」



「え?後ろ?」


後ろを振り向くと遥と小田先輩が尾行している。


二人は見つかると笑いながら、やって来た。



いつしか二人から四人に増え、

文化祭を楽しんでいた。

ふざけて私と手を繋ごうとして、

仁くんに頭を叩かれる小田先輩。



楽しんでいる四人をたくさん写真に収める遥。



いっそ、このまま楽しい時間が、

永遠に続けばいいのに。


四人の満面の笑みを見ていた人達が羨ましがるほど、文化祭は思い出になった。
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