この恋に名前をつけるなら

ガラン、ガラン。

神社で真剣にお祈りをする仁くんを見て、私は微笑んだ。


仁くんは横目で私が笑っていることに気づき、変な顔をする。



私はまた笑い出し、楽しくて仕方なかった。



今日は近くの神社で初詣。


仁くんは何をお祈りしたのだろうか。



『言ったら願いが叶わない』からと言って教えてくれなかった。



神社は大勢の人で埋め尽くされていて、逸れないように仁くんは私の肩に手を寄せている。



こんな些細なことだけど、私はキュンとしてしまう。


私を守ってくれているみたい。


好きが溢れ出してしまう瞬間だった。



その後、二人はおみくじをする。


大吉を引いて喜ぶ仁くんと凶を引き、落ち込む私。



「そんな落ち込むなって!」


仁くんは心配そうに私を気にかける。



「じゃあ、交換してよ」


「は?なんでよ!」



「私が大吉引いた!交換して」


理不尽に私は仁くんのおみくじを取ろうと必死になっていた。



「はぁ?何でだよ!やだよっ」



「私が……ふふ」



「はは、何、二人ともムキになってんの?」


何だか可笑しくなり、二人は笑っていた。



おみくじの結果なんて、どうでも良かった。


ただ私の隣に居てくれるだけで良い。


それ以上のことなんて、願ったりしないよ。



『何年先もずーっと一緒』



神社に並ぶ屋台に寄りながら、

二人は仲良く帰って行った。
< 50 / 166 >

この作品をシェア

pagetop