この恋に名前をつけるなら
ガラン、ガラン。
神社で真剣にお祈りをする仁くんを見て、私は微笑んだ。
仁くんは横目で私が笑っていることに気づき、変な顔をする。
私はまた笑い出し、楽しくて仕方なかった。
今日は近くの神社で初詣。
仁くんは何をお祈りしたのだろうか。
『言ったら願いが叶わない』からと言って教えてくれなかった。
神社は大勢の人で埋め尽くされていて、逸れないように仁くんは私の肩に手を寄せている。
こんな些細なことだけど、私はキュンとしてしまう。
私を守ってくれているみたい。
好きが溢れ出してしまう瞬間だった。
その後、二人はおみくじをする。
大吉を引いて喜ぶ仁くんと凶を引き、落ち込む私。
「そんな落ち込むなって!」
仁くんは心配そうに私を気にかける。
「じゃあ、交換してよ」
「は?なんでよ!」
「私が大吉引いた!交換して」
理不尽に私は仁くんのおみくじを取ろうと必死になっていた。
「はぁ?何でだよ!やだよっ」
「私が……ふふ」
「はは、何、二人ともムキになってんの?」
何だか可笑しくなり、二人は笑っていた。
おみくじの結果なんて、どうでも良かった。
ただ私の隣に居てくれるだけで良い。
それ以上のことなんて、願ったりしないよ。
『何年先もずーっと一緒』
神社に並ぶ屋台に寄りながら、
二人は仲良く帰って行った。