この恋に名前をつけるなら
次の相手は全国大会常連の強豪チーム。


勝てるわけがない。


部員達は気持ちで負けていた。



そんな中、海斗が口を開く。



「いやーー、次が最後だぞ！最後ぐらい楽しもうや！やる前から負けてどうするん？いいか！１００対０で負けるのと１００対９９で負けるのどっちがえん？どうせ負けると思っとんなら大間違いや！応援してくれとる皆んなに失礼やしカッコ悪いぞ！最後ぐらい、気合い入れろや！」



海斗の喝で部員の考えが変わる。


応援してくれる人のためにも良い試合をしようと……



たとえ負けたとしても。



そして、試合は始まった。


試合はやはり強豪校チームのペース。


点差がみるみる広がっていく。



だが、

俺達の目は死んでなかった。


点差が広がっていくのに、声援は止まない。



むしろ、声援は大きくなっていく一方。



「仁くん頑張ってーー！」


結空の声援が俺にも届いていた。


じわじわと点差を縮めていき、

点差は１０点差。



あと少しだった。


まるで、

窮鼠猫を噛むみたいに様変わりするチーム。


勝てる！








誰もが思っていた。



だけど、







反撃の狼煙もここまでだった……



俺達にとって最後の試合になった。


試合には負けたもの、鳴り止まない拍手。　



相手チームの部員達、

この試合を見ていた人達からも……



俺達は大粒の涙を流していた。



「ありがとうございました」


体育館上のギャラリーに感謝の挨拶を残し、俺達、三年生は引退していった。
< 57 / 166 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop