この恋に名前をつけるなら
「私にだけ冷たいし邪魔だとしか思ってない。だから私は居場所がなくて逃げ出したくなる」
私の目から涙が溢れ落ちた。
「そんな……」
「まだ高校生の私が逃げれる場所なんてないんだけどね。ふふ」
私が重たくした空気を、変えようとしてることに仁くんは気づく。
だが、
何て言葉をかけてあげれば良いか、
仁くんは言葉を探していた。
「ホント何で私が産まれてきたのか何回も考えた。でも、仁君に出会えて分かったんだ」
「え?」
「仁君と出逢うために産まれたんだよ。今は仁君がいるから毎日が楽しいし、頑張れる!本当に産まれてきて良かったって思う」
「俺もだよ……結空は俺なんかよりも強いね。一人で闘ってたんだから」
「そんなことないよ。だから……もう迷惑かけられないから、就職して一人暮らしするの」
「そうだったんだ……」
仁くんは私の手を握りしめる。
「ごめん、記念日なのに変な空気になったね」
仁くんは首を横に振り、私を抱きしめる。
抱きしめることしかできなかったのだ。
涙が止まらない私は仁くんに抱き寄せられたまま、仁くんの温もりを感じる。
そして、
仁くんは推薦入試が九月にあるため忙しくなり、
私と会える日が減っていった。