この恋に名前をつけるなら
9月、AO入試が終わり、俺は教室にいた。
「おめでとう!」
クラスメイトから鳴り止まない祝福の声。
AO入試を無事合格し、
俺は学校で一番早く進学が決まったのだ。
卒業後は広島。
大学生だ。
「いいな……あとは卒業まで呑気に過ごせるじゃん」
海斗は俺を羨ましがる。
「一ノ瀬君、頑張ってたからね」
中島さんは俺を褒めた。
「ありがと、次は中島さん達が頑張る番だよ」
俺は中島さん達を応援した。
「これから嫌だなーーねっ小田君?」
中島さんは不安になっていた。
「だね!中島さんは就活だっけ?」
海斗は尋ねる。
「そうだよ。もう勉強はしたくないからね」
中島さんはニコッと笑う。
「海斗は決めたのかよ?大学」
俺は心配そうに聞いた。
「それが……まだでさ。どこの大学行くか親と相談中」
海斗は進学先が決まらず、焦っていた。
「そっか。小田君も大変だね」
中島さんも心配そうに海斗を伺う。
「お前は凄いよ。これって思ったら突き進む感じ?俺にはないからさ……」
海斗は俺の真っ直ぐなとこが大好きだった。
「なんだよ急に……キモいな。はは」
俺は照れ笑いを浮かべる。
「お前……せっかく褒めてやったのに!」
海斗は俺の後ろに回り込み、俺の首に腕を回した。
「はは、中島さん、助けてーー」
俺は海斗に首を絞められながら手を伸ばし、中島さんに助けを求めていた。
「また始まった、ふふ」
中島さんは仁達を見て微笑んだ。
それから、
俺は受験勉強から解放され、
結空との時間が増えていく。