この恋に名前をつけるなら
翌日、俺は結空と体育館の中に居た。
外は雨が降り、
体育館の屋根から雨音が聞こえる。
「あのさ、俺達別れよう」
俺は単刀直入に結空に告げた。
結空は言葉を失う。
「嫌だよッ!嫌ァあ!仁くんと別れるなんて……」
私は仁くんに詰め寄った。
「あの日、考えたんだ。駆け落ちだったり、大学行くの辞めようか」
「えぇ!」
「そしたら結空以外にも自分の親を傷つけてしまう。何が一番良い選択肢なのか分からなくなっちゃって」
「仁君……」
「最終的に結空と別れるって決めたんだ。ホント自分に負けたんだよね。ホントごめん」
「そっか……迷惑だよね、私といたら?……親に迷惑かけるよね?仁君たくさん傷つけちゃったよね?」
仁くんは首を横に振る続ける。
「私は……仁くんと一緒に居たいし、仁くんが大好き。でも、迷惑だよね?」
仁くんは首を横に振るのをやめた。
「ごめんね。今までこんな私を好きになってくれて」
私は一粒の涙が流れ落ちた。
「俺の方こそ、何もしてあげられなかったよね?本当にごめん」
「ううん。今まですごく楽しかったよ。じゃあ別れるね……」
「うん」
俺は泣くのを我慢していた。
「じゃあ、俺行くね」
俺は涙を見られないよう、
早々に体育館を出て行った。