この恋に名前をつけるなら
「あのさ、結空ちゃんはまだ仁の事が好きなの?」



「え!それは……好きですけど」


私はずっと引きずっていた。


今でも別れたことを後悔している。



「そっか。俺さ、仁が人を好きになったの初めて見たから応援してたんだよね。でも別れるとは思わなかったから驚いたよ」



「私が約束を守ってれば……」



「そっか……後悔してないの?」


海斗は床に置いてあったバスケットボールを拾う。



「後悔……してます。でも、迷惑かけるから」



「ふーーん。確かに今は迷惑でも大人になったら迷惑なのかな?」


海斗はドリブルをしだす。


体育館に響き渡るボールが弾む音。




ダン、ダン、ダン


「え?」



「確かに俺らはまだ親がいないと生活できないし何もできないよ。でもさ……考えてみてよ。俺達が大人になったらさ、大人と対等だよね。大人になったら大人の言うことなんて聞かなくたっていんだよ!」


海斗はゴールに向かってシュートする。


綺麗な弾道でゴールネットが擦れる音。





スパッッ











「このままで終わるか、この先に繋げるかは結空ちゃん達次第だよ」



海斗はボールを拾わず、

そのまま体育館から出て行った。



私はボールを拾い、

ボールを見つめて考え込む。








今、自分にできることは何かを。
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