この恋に名前をつけるなら
3月、卒業式が終わり、
俺は体育館で記念撮影をしていた。
「はい、チーズ」
海斗は俺と中島さんの三人で写真を撮る。
「何枚目だよー撮りすぎだろ」
俺は連写する海斗に突っ込んだ。
「何枚撮ったっていいだろーー最後ぐらい」
海斗はもう一枚撮る。
「お前も広島の大学だろ。いつでも会えんじゃねえかよ」
大学は違ったが、海斗とは同じ広島だった。
「寂しいこと言うなよ。思い出だろ?ね?中島さん?」
「そうそう!一ノ瀬くん達は広島だけど、私は松江だからね!いつ会えるか分かんないから今日ぐらいいいじゃん、ね?」
中島さんは寂しそうに言った。
「中島さんが言うなら仕方ないね!」
すると、
そこへ結空が遥ちゃんと一緒にやって来た。
「仁くん、ちょっといい?」
「え?」
俺は目を丸くし、立ち止まっている。
何の用か分からなかったけど、久しぶりに結空と喋ることに緊張と喜びを覚えた。
「早く行ってこいよ!」
海斗が俺の背中を力強く押し、
結空ちゃんのもとに行かす。
結空は答えを見つけたのだろう。
海斗にお辞儀をして、
俺と体育館裏に行った。