この恋に名前をつけるなら
-第2章-
月末の遊女
2013年6月6日、約束の日。
プロポーズ丘公園に結局、結空は来なかった。
どれだけ待っても、
どれだけ彼女のことを思い続けても、
君との恋は叶わなかったのだ。
俺は諦め、プロポーズ丘公園から離れて行った。
坂道を下り、近くにあるバス停まで歩き続ける。
すると、反対側から歩いて来る細身の女性から、声をかけられた。
「あれ?一ノ瀬君?」
俺は身に覚えのある声に反応し、顔を挙げる。
そこには見覚えのある懐かしい人物が……