この恋に名前をつけるなら
「一ノ瀬です!」


俺は栞先輩に名前を覚えて欲しかったのだろう。

咄嗟に自分の名前を口にした。



「え?」


何のことか分かっていない栞先輩に、

もう一度名前を告げる。



「僕の名前!一ノ瀬仁です」



「え!ふふ、教えてくれてありがと」


栞先輩は微笑んだ。


つられて俺も笑う。



「私は頼田栞。お弁当一緒にいい?」



栞先輩は持っていたお弁当箱を見せる。


普段は友達と食べていたが、

一人寂しく食べる俺が気になったのだろう。


俺と栞先輩は一緒にお弁当を食べるようになった。



「はい」


俺は栞先輩の優しさに惹かれていく。


一緒にいたいと思ったのは結空以外、

初めてだったかもしれない。
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