この恋に名前をつけるなら
9月の夜。
俺の部屋で栞ちゃんは映画を観ていた。
眠くなったのだろうか。
栞ちゃんは睡魔に襲われていた。
俺の肩に寄りかかり、寝てしまう。
俺はしばらく、
栞ちゃんの寝顔を見ていた。
もの凄く可愛く、
栞ちゃんの寝顔を独り占めしているようだった。
俺は何を血迷ったのだろうか。
ゆっくりと唇を重ねようとした。
後少しで栞ちゃんの唇に触れそうになった時、栞ちゃんが目を覚ます。
栞ちゃんは自分が寝ていたのに気付いたのだろう。
俺は首を引っ込め、
何事もなかったように映画を見ていた。
「ごめん……寝ちゃってたよね?」
栞ちゃんは眠そうに目を擦る。
「あ……うん」
栞ちゃんにバレてないか俺は焦っていた。
「ごめん。そろそろ帰ろうかな……」
「え!もう帰るの?じゃあ……駅まで送るよ」
俺は寂しそうに栞ちゃんを伺う。
「ありがと。ねえ、仁君?」
「うん?」
「私たちずっとこのままかな?」
「え!何のこと?」
「仁君の彼女になれない?って話し」
栞ちゃんはなかなか告白して来ない俺に尋ねた。
「え!その……付き合いたいよ。栞ちゃんと」
俺は栞ちゃんが好きだった。
一緒に居て、いつも笑顔にさしてくれる。
心地良い彼女に惚れていた。
「ふふ、じゃあ付き合おうよ」
栞ちゃんは俺のほっぺたにキスをした。
「え!うん」
俺は固まり、照れる。
「さっきの続き、ふふ」
栞ちゃんは俺が唇を重ねようとしていたのに気づいていた。
「今日泊まって良い?」
栞ちゃんは俺の顔を覗き込み、
満面の笑みで尋ねた。
「あ……うん」
二人は付き合い、
この日を境に泊まるようになった。