私の幸せな身籠り結婚
Mission0 優雅なお見合い
「お初にお目にかかります。子規堂 七海と申します」
私、子規堂七海は、努めて華麗に、そして優雅で優しい雰囲気を保って、深く、お辞儀をした。
これからどうなろうとも、今は今、やるべきことを果たすだけ。
長年培ってきた抜群の演技力で、真実を隠すことが出来ている。我ながら上出来だ。
「七海さん、お顔を上げてください。俺は、氷織 颯霞と申します。よろしくお願いします」
あちらも、本音ではない。演技をしているのがこちらにバレバレだ。
「はい」
国内最高の軍隊を率いる隊長だと言っていたものだから、もっと厳格なお方なのかと思っていたわ……。
七海の婚約者、氷織颯霞は想像していたよりもずっと、ほんわかとした優しい人だった。
紺色の着物に藍色の羽織を着ていた。それはどこかの童話に出てくる若旦那様のように美しい。
なんだか、拍子抜けね……。
< 1 / 143 >