私の幸せな身籠り結婚
いつから俺は、こんなにも弱くなってしまったのだろう。家族ではない赤の他人であったはずの七海さんから、胸が切なくなるほどに甘く疼く愛を貰ったからだろうか。
俺は、最初の頃は知らなくてもいいと思っていた七海さんのその心の内に秘めたものさえ、知りたいと思ってしまっている。
こんなにも欲張りな俺を、七海さんは受け入れてくれるだろうか。夜の帳が下り、狩りの時間が始まる。
今夜は朧月が辺りをぼんやりと怪しく照らしており、風情のある夜だった。
本当は七海さんと二人で出来るはずだった夜狩を、俺は一人で行うことになる。隣には誰もいない。
もし俺が何かをしてしまったのなら、謝らせて欲しい。
俺は何が何でも、貴女だけは手放すことが出来ないんだ。どんなことをしてでも、貴女と幸せになりたい。
七海さんを、俺の正式な妻として氷織家に迎え入れることの出来るその日まで───。
俺はただ胸に収まりきれない沢山の感情を、貴女に伝え続けるだろう。