私の幸せな身籠り結婚
その瞬間、体中がゾワリと泡立ち、今すぐに逃げ出したい衝動に駆られる。
な、んで─────。
なぜ、貴方のような人がこんな所にいるの……っ?
いやだいやだ……っ、嫌だ!!
今の声は幻だと思いたい。
だって、こんなこと、駄目だもの。
そう何度頭の中で抗おうとしても、私の目の前にゆったりと佇んで優美に微笑んでいるそのお方を見れば、もう今起きている現実を否定することは出来ない。
『ヴィラン皇子……』
なぜ貴方がここに……。
私はスッと表情を変え、まるでよくないものを見るような、そんな蔑んむ瞳を、凍てつく視線を向けた。
『(エマ・シャーロット姫、この僕が貴女を遥々ヴィステリア王国からお迎えに参りました。ヴィラン・ラ・モニークと申します)』