私の幸せな身籠り結婚
そう言われても、そう簡単に出来ないのが長年の習慣だ。いつも下の身分だった私は、頭を下げること、謝ること、迷惑をかけないこと、……などの沢山の『遠慮』を叩き込まれてきたのだ。
そう簡単に、その悪い癖が治るとは到底思えない。
私はゆっくりの目を閉じて、眠るよう努力する。しかし、努力するまでもなく、私は颯霞さんの静かな運転のおかげで、すぐに深い眠りに落ちていた。
◇◇◇
「……さん。…七海……起きて……さい」
「ん、……」
俺は七海さんを起こそうと、優しく肩を揺さぶる。それでも七海さんは、寝ぼけたように俺の名前を囁き、また夢の中へ入っていこうとする。
「颯霞さん~……」
少し掠れた、七海さんの甘えたような声。それだけで、俺の理性が揺らいで下半身が反応してしまいそうになる。
しかし七海さんは、さらに追い打ちをかけるように、寝ぼけ眼で俺に抱きついてきた。
「は、……!?七海、さん…?」
「ん~、……私は、なんで言うことを聞かなきゃだめなんですか~…!こっちはそれどころじゃないんですー…!」