私の幸せな身籠り結婚
玄関も同じく、勝手に開き、何も敷かれていなかった床には、赤いカーペットがすばやく現れる。
「旦那様、おかえりなさいませ」
沢山のメイドや執事が俺の帰りを迎え入れる。
長すぎる廊下に綺麗に一列に並んで、綺麗な背格好で御辞儀をするその姿は、軍隊の人たちととてもよく似ている。
俺はそれを軽く受け流して、廊下の一番奥にある私部屋へ向かう。
七海さんは俺の腕の中で気持ち良さそうに寝息をたてていて、自分の中にある男の欲求というものがくすぐられる。
入った先にある部屋は水色が基調とされた簡素な部屋。必要最低限のものしかこの部屋にはなく、ベッドにソファ、デスクや椅子など本当に寂しいくらい、何もない。
昔はこの部屋に閉じ込められるようにして勉学に励んでいたな……。
そう懐かしむように考えた後、七海さんをゆっくりとベッドに下ろす。
今日からは七海さんもこの屋敷で住むのだと考えたら、嬉しくてたまらない。頬が四六時中緩んでいそうだ。