私の幸せな身籠り結婚


そうしたら、もうこちらに勝ち目などないのではないか。氷織家は初代当主の頃から位の高い貴族だったが、それ以上の権力を握っていたのは、実は子規堂家なのだ。


国一番のお嬢様。

国一番の権力を持つ家柄。


今では七海さんの御両親がこの国を担っていく者なのだ。


「七海さん。起きてください…!さっきのは、さっき言ったことは一体どういうことなんですか……!」


俺の中で、嫌な想像が広がっていく。やっと大切な人を見つけられたと思ったのに。


また、俺から……大切なものを奪っていくのか……?


………そうだ。七海さんとの婚約が破棄にならないようにするためには、その方法は一つしかない。それは、


七海さんを孕ませること。


子供さえ妊娠すれば、あちらといえども無理矢理婚約破棄することもないだろう。これまでの情事だって避妊具を使わずにしていた。


それなら今までと変わりなくすれば、妊娠する未来も近い。

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