私の幸せな身籠り結婚
その名を知られては、何かまずいことでもあるのではないか。そう勘ぐってしまう。
「え、えと……あの、それは颯霞さんには関係のないことです。そうむやみに干渉されると、あまり良い気はしません」
真っ青だった顔色が、だんだんと通常の顔色に戻っていく。
「それは、俺には言えないようなことですか」
関係ない、と言われると少し寂しさを感じてしまう。
俺にとって七海さんはもう、ただの他人ではないし、それどころか結婚したいとまで思っているのだから。
でも、七海さんは俺と同じ気持ちではないと言われているようで、少しだけ心臓がえぐられる。
「七海さん…?」
「あ、……はい」
こんな七海さんは、珍しい……。
いつもはボーっとすることなんて絶対にないのに、今の七海さんは少し、魂が抜けてしまったように感じられる。
「颯霞さん。いつまでもこうしているわけにはいきません。今日は、颯霞さんのご両親にご挨拶に参ったのです」