私の幸せな身籠り結婚


人の心の温かさを知らなかったから、そんなものに触れたことがなかったから、私はどんな酷い仕打ちにも耐え抜くことが出来ていた。


……でも、貴方の優しさを知ってしまったら、その陽だまりのような温かさを知ってしまったら、───。


私はきっと、………。


……きっと、“弱くなってしまう”。


人を傷付けることに、悲しみを覚えてしまう。私はやっぱり、あの人たちの忌み子なのだから……。


 ◇◇◇


昔から体が弱かった。よく話す子でもなかったし、人よりも秀でた才能を持っていた子でもなかった。


両親の期待に応えられない私は、“いらないもの”だった。


体が弱い上に、鬼を倒す“異能”さえも使えないどうしようもない子だった。

沢山の子たちからいじめられ、仲間はずれにされ、挙句の果てには両親にさえ、無視され虐められた。

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